バレンタインデー <著者:緋水 翼サマ>
今日はバレンタインデー。日本中の女の子たちが楽しみにしている行事の一つだ。
もちろん、梅流もバレンタインデーが来るのをとても楽しみにしていた。
一ヶ月も前から蔵馬のために手編みのマフラーを編んでいた。
編物は得意な方ではなかったが、学校の友達に教えてもらいながら頑張って編んだ。
もうすぐでマフラーが完成する。梅流は学校の休み時間の間もずっと一生懸命マフラーを
編んでいたから努力が実を結んだのである。
(秀ちゃん、これ喜んでくれるかなぁ・・・)
蔵馬に淡い青色の毛糸が合いそうだと思い、お小遣いで買った毛糸・・・。
絶対、蔵馬に渡して喜んでもらおうと梅流は思っていた。
学校がいつもよりも早く終わったので梅流は足早に家へと急いだ。
家に着くと早速マフラーをラッピングしようと梅流は可愛らしい薔薇の柄がついた袋を
部屋から持ってきた。
(後は、リボンを付けるだけ・・・♪)
蔵馬には今日の午後6時に近くの公園で待ち合わせしている。そこの公園ではこんな噂がある
『バレンタインデーの日、噴水の前でカップルがキスをすると一生幸せになれる』
(う〜ん・・・リボンの色は何にしようかなぁ・・・?)
赤・青・緑・黄色・紫・ピンクなど色んな色のリボンを見ながら梅流は悩んだ。
(紫もいいし・・・赤もいいし・・・どうしようかな・・・)
結局、リボンは紫にした梅流。
今は午後5時半だ。待ち合わせまで後30分もある。家から公園へは15分くらい掛かる。
「よし、後は早く着替えて40分位に家を出るだけ♪」
梅流は部屋へ行き、お気に入りのワンピースをクローゼットから取り出した。
小さな桜の花びらがプリントしてあるワンピースだ。
ふと、時計を見るともうすぐで40分を針が指そうとしていた。
「ありゃ、もうこんな時間だ・・・早く行かなきゃ!」
梅流はプレゼントを持ち、慌てて家を飛び出し公園へ向かった。
公園ではすでに蔵馬が梅流を待っていた。
(梅流、一体どうしたんだろう・・・何処かで事故にあったとか
誘拐されたんじゃないかなぁ。梅流は可愛いから・・・)
「秀ちゃん!ゴメン、待った?」
梅流が息を切らしながら蔵馬に訊く。
「いや、今来たばっかりだよ。息、切らしてるみたいだけど大丈夫?」
「うん、大丈夫・・・秀ちゃん、これ・・・(/ / /)」
梅流が蔵馬にプレゼントのマフラーを渡した。
「これ・・・梅流が編んだのかい?」
蔵馬はとても嬉しそうな顔で言った。
「うん、そうなんだけど・・・ごめんね。初めて手編みに挑戦したんだけど・・・
ヘタでしょ・・・ι」
「そんなことないよ。梅流が作ってくれたものだったら俺は何でもいいんだよ?」
「あと・・・チョコも・・・(赤面)」
「梅流、ありがとう(にっこり)」
そう言うと蔵馬は梅流の頬に軽くキスをした。
「これは俺から梅流へのプレゼントだよ」
「秀ちゃん・・・(真っ赤)」
今日はバレンタインデー。ここにも1つ幸せそうなカップルがいた。
〜END〜
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