誕生日 <著者:綾子サマ>12月13日 あ・・・明日は私の誕生日だ・・・今年も蔵馬と過ごせるかなゥ あ、蔵馬だ!どこかに行くのかな? 「蔵馬!」 蔵馬を見つけたのが嬉しくて、つい腕に抱き着いちゃった… 「梅流!どうした?」 「ううん何でもない!蔵馬は?どこかお出かけ?」 「え?あ・・・あぁちょっとぼたんと買い物にね・・・」 え?ぼたんと? 「ごめん梅流・・・もういかなきゃ・・・すぐ帰るから!」 蔵馬は私に軽くキスをすると、足早に去っていちゃった… 蔵馬はいつもと変わらなかったけど… なんでだろ?なんかモヤモヤする… 「ん?オッス!梅流ちゃんじゃん!」 「え?あ、桑原君…」 「どうした?なんかいつもより元気ないぜ?」 「そ…そうかな…?」 「蔵馬と喧嘩でもしたか?」 「し、してないよ!!」 「分かってるって、お前達が喧嘩をするわけねーもんな」 「もぅ…」 「…にしても、蔵馬どうした?」 え…?今一番触れて欲しくないのに… 「…どうした?」 「…ううん…蔵馬ならぼたんと買い物に行ったよ…」 「ぼたんと買い物?…?…あぁ!もしかして…」 “ドカッ!!” …(汗)?あれ?鈍い音と共に桑原君が幽助に… 「な〜にやってんのかなぁ桑原君(怒)?」 「いってーじゃねーか浦飯!!!いきなり飛び蹴りすんなよ(怒)!」 「や〜だなぁ桑原君は(怒)ったく口が軽いんだからよ(怒)」 「あんだと(怒)!!!」 「ちょ…ちょっと二人とも…(汗)!!」 「ごめんな梅流!このアホちょ〜っと借りるわ!」 「え?…あ、うん…」 「離せよ浦飯(怒)!!!」 幽助が桑原君引きずって行っちゃった…(汗) なんだか今日皆変だよ? あ!螢子ちゃんと雪菜ちゃんと静流さんだ…三人で何か話してる… 「みんな!何話してるの? 「梅流ちゃん!!ううん何でもないの!ねぇ静流さん、雪菜ちゃん!」 「あ…あぁそうなんだ。大した事じゃないんだよ梅流ちゃん。」 「明日の…」 …明日? 「あぁぁぁ〜〜〜雪菜ちゃん!ちょっといいかい?!」 「ごめんね梅流ちゃん!!ちょっと用を思い出しちゃった!またね!!!」 …三人とも凄い勢いで行っちゃった… なんだか今日私だけ仲間はずれみたいで嫌だな… 「…何をしている?」 「あ…飛影…」 「…なぜ泣きそうな顔をしているんだ…?」 「え?」 飛影にそう言われて気がついた… 私今泣きそうなんだ… そう思ったら涙が… 「っ!!な、なぜ今泣く!!!」 「わかんない…!」 その時コエンマがいきなり目の前に現れた。 「お?飛影…蔵馬のおらん間に梅流にちょっかい出して 泣かせてはいかんではないか!!」 「殺すぞ貴様(怒)!!」 「冗談じゃ、そう本気にするな…ところで、梅流…なんで泣いとるんだ?」 「…わかんない…」 「…そ…そうか…(汗)ところで、お前等ぼたん知らんか?」 ぼたん…蔵馬…蔵馬と… 「ふぇ…」 「な、なぜ益々泣くのだ!!」 「…貴様だからな泣かせたのは…」 「なっ!飛影!!汚いぞお前!!」 「知るか…じゃあな…」 「こらぁ!逃げるか飛影!!!」 飛影とコエンマ様が消えちゃった… 何か一人ぼっち… 蔵馬ぁ…会いたいよ… 私はそれから家に帰って泣きつかれて眠ってしまったみたい。 夢の中に蔵馬が出てきてやさしく微笑んでくれた… 蔵馬…私やっぱり蔵馬が好きだよ… 「…お…て…梅流…」 んぁ?誰?凄く心地いい声…この声で呼ばれると気持いい…安心する… 「梅流…起きて…」 この声…蔵馬だ… え?蔵馬?! 「蔵馬!!!」 「おはよう…良かった間に合った…」 「え?」 蔵馬がやさしく抱きしめてくれた。 暖かい…なんか今まで凍っていた心がとけていくみたい… 「蔵馬…今日ぼたんとどこ行ってたの?」 「ん?…もう少しで分かるよ…」 「え?」 「…シィィ…」 蔵馬は一旦私を離すと静かにするようにって口の前に指を立てた。 「………?」 その時、時計の鐘が12時を鳴らし始めた。 「??く…らま???」 鳴り終るまで蔵馬は笑顔で私の顔を見てた。 鳴り終ると、もっとにっこりと私の大好きな笑顔をして、 「誕生日おめでとう梅流。」 そう言ってビックリしている私の口をふさいだ。 しばらくそうしていたけど、蔵馬がやっと私を解放してくれた。 「蔵馬!!!」 私はうれしくて蔵馬に抱きついた。なんか…泣きそう… 「梅流…見せたいものがあるんだ…」 「え?」 私は涙をこらえ、蔵馬に手をひかれながらベランダに出て庭を見た。 すると… 『ハッピーバースデイ梅流!!!』 「っ!!!皆!!!」 そこには幽助、桑原君、飛影、螢子ちゃん、静流さん、雪菜ちゃん コエンマ、ぼたんが笑って立っていた。 なんか…もう…だめ… 「梅流?どうした?」 蔵馬が心配そうに私の顔を覗き込んだ。 「ううん…ううん…ありがとう皆!!!」 私は泣きながら笑顔を見せた。 「なんで泣いてんだよ梅流?!」 「ば〜か浦飯!そんな野暮な事聞くなよ!!」 「あ?なんでだよ?」 「本当にバカね幽助って…梅流ちゃんはうれしくて泣いてるの…ねぇ梅流ちゃん?」 「うん…」 私と蔵馬は庭に下りた。 「ごめんよ梅流ちゃん…さっきは悪気はなかったんだよ…」 「ごめんね梅流ちゃん…」 「いいの静流さん、螢子ちゃん!こんなに素敵なパーティ開いてくれてうれしい!!」 私は二人に抱きついた。 「さっ梅流ちゃん!!ケーキのろうそくの火消しとくれ!!」 「うんぼたん!!」 私はケーキの前に行き、皆が歌を歌ってくれ終わったらいっきに火を消した。 「おめでとう!!!」 「おめでとう梅流ちゃん!!」 「ありがとう…」 「おっし…食うぞぉぉ!!!」 「こら幽助!!!」 「食べましょう雪菜さん!!」 「え?ええ、あ、ちょっと待ってください和真さん…」 雪菜ちゃんが私の前に来た。 「あの…私からの誕生日プレゼント受け取ってもらえますか?」 「え?うん!もちろん!!」 「じゃあ…」 雪菜ちゃんは空を見上げた。…?どうしたんだろ雪菜ちゃん? 私が空を見上げると、空から何かが降ってきた。え? 「これが私からのプレゼントです。」 雪菜ちゃんが綺麗な笑顔で私にそう言った。 私が雪菜ちゃんの笑顔に見とれた瞬間、私の目の前を白いものが落ちて行った。 「…え?…雪?」 「はい。」 「綺麗ぇ…ありがとう雪菜ちゃん!!」 「凄いです雪菜さん!!!」 雪菜ちゃんは桑原君と一緒に行っちゃった…でも、凄くうれしい… 「梅流ちゃん…」 「あ、ぼたん…」 「あっちで蔵馬が待ってるよ?」 「え?」 「今日はごめんよ…さっ!早く行った行った!!」 私はぼたんに背中を押されて皆から離れて行くと、蔵馬が一人で立っていた。 「じゃあね♪ごゆっくり〜♪」 「ぼたん?!」 ぼたんはそそくさと皆の所に戻っていった。 「蔵馬?どうしたの?」 「梅流…」 私が蔵馬の近くによるといきなり抱きしめられた。 「ごめん…飛影とコエンマに聞いたよ…泣いてたんだって?」 「え?」 「ごめん梅流…君を泣かせるつもりじゃなかったんだ… この事を梅流に秘密にしておきたくて…梅流を驚かせたかったんだ…」 だから皆今日変だったんだ… 「ぼたんと桑原君達はすぐ君にばらしそうだったからね… それぞれ何人かでペアになってこれを準備してたんだ…」 「だから…」 「梅流…」 蔵馬が私を離した。そして、ポケットから小さな箱を出した。 「梅流…受け取ってもらえる?」 「え?」 「ぼたんと一緒に何がいいか今日一日考えたんだけど やっぱりこれがいいかなって…」 私は蔵馬から箱を受け取ると、開けてみた。 そこには綺麗なシルバーの指輪が月光と雪に光っていた。 「誕生日に好きな人からシルバーの指輪をもらうと、その人と永遠に幸せになれるって 聞いた事があるんだ…受け取ってもらえるかな梅流?」 「もちろん!!!」 私は泣きそうになるのをこらえて笑顔でそう言った。 すると、蔵馬が私の手から指輪をとると、私の指にはめた。 「良かった…ぴったりだねサイズ…」 「ありがとう蔵馬!!」 私はそのまま蔵馬に抱きついた。 「梅流…お誕生日おめでとう…来年も再来年も ずっとずっと一緒に梅流の誕生日を祝おう…」 「うん!」 私達は笑顔でもう一度誓いを交わすかのように口付けを交わした。 「さっ!皆の所に戻ろうか…」 「うん!」 私は差し出された蔵馬の手を握った。 あれ?蔵馬…私と同じシルバーの指輪をしてる!! 「蔵馬…」 「ん?」 蔵馬は幸せそうな笑顔で私の方を見た。 「…だ〜い好き!!」 「俺もだよ…」 私達はとっても幸せな気分で皆の所へ戻った。 ありがとう皆…ありがとう蔵馬…大好きだよ… 私は雪菜ちゃんが降らせてくれた雪を見ながら心の中で みんなにお礼を言い続けた。 |