♪music on / off →



たちきれぬもの <著者:綾子サマ>



待てぇ!!!」
「ちっ…見つかったか!」

妖狐はまだ少年だった。
盗賊を続けているとはいえ、まだ未熟な彼は追撃者に発見されてしまった。
これは妖狐蔵馬が伝説の盗賊妖怪となる前の話しである。
 

たちきれぬもの


「はぁはぁ…」

妖狐は荒い息を整えるため草むらに潜んでいた。
彼は背中と足から血を流していた。
そう、追撃者によって不覚にも傷を負わされたのだった。

「よし…」

彼は息を整えると、再び走り出した。
彼はどこへ行くともなくただ走っていたのだ。
何かに呼ばれているかのように…

彼は何時の間にか人間界へと足を踏み入れていた。
彼は段々自分がなにから逃げているのか分からなくなっていた。
彼は再び草むらの中に姿を隠した。
今まで感じなかった傷の痛みが段々感じられるようになってきた。
そして、もうここまで来たら大丈夫だと確信した瞬間、彼の体を激痛が走った。
今まで薬草と気力で痛みを感じていなかったのだ。
彼は痛さのあまりその場に倒れこんだ。その時声が聞こえた。

「どなたかそこにおられるのですか?」

女の声だった。妖狐はギリギリまで意識を持ちこたえたものの
その声の主を見た瞬間意識を手放した。
 
彼は見知らぬ場所で目を覚ました。
そこは、先ほどまで隠れていた草むらでも、自分が生まれ育った魔界の景色でもなかった。
どこかの建物の中らしい。彼はゆっくりと起きあがった。
すると、背中と足のけがが治療されていた。

「…?」

しばらくそのままでいた妖狐だったが
人の気配を感じ咄嗟に立ちあがって神経を張り詰めた。
襖が開き、一人の女性が入って来た。

「あら?目が覚めたのですね…よかった…」

女はうれしそうに笑った。

「誰だ…お前…」
「私ですか?私は…ここの神に仕える巫女です。名は…ありません。
 それよりも、傷の手当てを…さぁ、こちらへ…」

妖狐は警戒心を解かなかった。
部屋の隅にいる彼を巫女は笑顔で見ていた。

「そんなに警戒なさらないで…あなたを助けたいのです。」
「ふざけるな…なぜ俺が人間ごときに…」
「しかしそのままでは…」
「俺にかまうな!」

そう叫んだものの、妖狐の傷は浅くはなく、痛さのあまり妖狐はその場でうずくまってしまった。

「大丈夫ですか!」
「よ…るな…」
「…私はあなたを助けたいだけなのです…信じて下さい!」

妖狐は巫女の目を見た。
巫女の目は決して嘘をついている目ではなかった。

「…勝手にしろ…」

妖狐はおとなしくなった。
巫女はうれしそうに妖狐の側へ来ると、彼の傷の手当てをはじめた。
 
そんな日々が数日続いた。

「…お前は不思議な奴だな巫女…俺が怖くないのか?」
「怖いはずがありません…傷ついた者をどうして恐れる必要があるのです?」
「…俺は妖怪だぞ?お前を食うかも知れぬのだぞ?」
「その時はその時です…傷ついた者をほおって置く事など私にはできませんから…」

巫女は妖狐から目をそらさずにやさしい笑顔でそう言った。
やさしい、包み込むような眼差し…しかしどこかに強さを秘めた目だった。
妖狐はその目に見入っていた。今まで見た事のない瞳だったからだ。

「どうかなされましたか?」
「いや…何でもない…」

珍しく妖狐の方から目をそらした。彼が自分から目をそらすなど殆どなかった。
そんな事をした自分に彼自身が一番驚いていた。
 
「もう傷の方は宜しいようですね…」

しばらく経って、彼の傷は完治した。

「…巫女のおかげだ…」
「え?ありがとうございます。そのようなお言葉あなたから聞けると思いませんでした。」

巫女は本当にうれしそうな笑顔を彼に向けた。
その顔に彼は恥ずかしそうに顔を赤らめながら目をそらした。

「ここには誰もおらぬのか?巫女以外の気配がない…」

妖狐は恥ずかしさを紛らわすため、今まで気になっていた事を巫女に尋ねた。

「はい。ここには私だけです…」
「…寂しく…ないのか?」
「ええ。寂しくはないです…私は神に仕える身ですから…」

そう言ったものの、巫女の顔は一瞬だけ寂しさで翳った。

「お前…」
「あ、そうだ私は薬草を取りに行かなくては…失礼しますね。」

巫女は部屋を出て行った。
妖狐はする事がなく、巫女の後を追うように外に出た。

「っ…」

妖狐は眩しさに一瞬目が見えなかった。
彼は人間界に来てはじめて外に出た事に気づいた。
目が慣れてくると、妖狐は巫女を探した。
 
…なぜ俺は巫女を探しているんだ?
 
そう思いつつ彼は巫女を探しつづけた。

「あっ…」

妖狐が林の方に進んでいくと、巫女が腕いっぱいに薬草を持ちながら立っていた。
彼は巫女を見つけたとたん、今まで感じた事のない感覚を覚え、戸惑っていた。

「あら?どうかなさいました?」
「…いや…」
「お散歩ですか?」
「いや…そうじゃ…」
「気をつけてくださいね。この辺りは道が悪いので…」

そう言って歩き出した巫女だったが、草に足を取られ、転びかけた。

「あっ!」

妖狐は咄嗟に巫女の体を抱きとめた。

「…すみませんありがとうございます。」

巫女は笑顔で妖狐にお礼を言った。
それを見て、彼は真っ赤になってしまった。

「気をつけろと言ったのはお前だぞ?」

妖狐はすぐに巫女から体を離した。

「そうですね…申し訳ありません…」
「…持ってやる…」
「え?」

妖狐は巫女の腕の中いっぱいの薬草を取り上げた。

「ありがとうございます。」
「…また転ばれるといけないからな…」

妖狐は恥ずかしそうに歩き出した。その様子を見て、巫女はやさしく微笑んでいた。

「…そう言えば…お名前伺っていませんでしたね…教えていただけますか?」

巫女は妖狐の隣に並んで歩くと、笑顔で妖狐に名前を尋ねた。

「…妖狐…蔵馬…」
「妖狐様ですね…」
「…ああ…」

二人の間に少し沈黙が流れた。しかし、その沈黙を破ったのは意外にも妖狐だった。

「…本当にお前は不思議な奴だ…俺が怖くないのか?」
「なぜですか?なぜ妖狐様を怖がる必要があるのです?」
「俺は…妖怪だぞ?」
「存じております…あなた様のように綺麗な銀の髪を持つ者などこの世にはおりません。」
「妖怪だと分かっていて、なぜ助けた?」
「なぜでしょう?あなた様が怪我をしているのをこの辺りで見かけて…
 ほおっては置けませんでした…」

巫女はやさしく微笑んでいた。その笑顔を見るたび
妖狐の心に暖かな何かが流れ込んでくる感じを妖狐は感じていた。
二人の会話が途切れたその時、妖狐は人の気配を感じた。

「誰か来る…」
「え?このようなところにですか?」

妖狐が言った通り、すぐに高貴な格好をした男が現れた。

「巫女。このような所にいたのか…探したぞ…」
「惟忠様…どうしてこのような所に?」

男は親しそうに巫女に話しかけた。そんな二人を見て、妖狐は機嫌が悪くなった。

「しかし、惟忠様?ここは男子禁制の地…いくらあなた様でも
 ここに来ることは許されないはずですよ?」
「それくらい分かっておる…しかし巫女、最近この辺りで
 物の怪が出ると言う話しを耳にした…巫女…大丈夫か?」
「ええ。ありがとうございます。」
「ところで巫女…その男は?」
「え?」

男は妖狐に目線を移した。

「なにをおっしゃっているのですか?この方は女の方です。ねぇ妖狐様?」

巫女はそう言うと妖狐に笑顔を向けた。
妖狐は反論したかったが、ここは巫女に任せる事にして、黙って頷いた。

「女…」
「ええ。私の友人に失礼ではございませんか惟忠様…」
「あ…ああ…そうだな…すまない…無礼のことを申した…」

男が妖狐に頭を下げた。

「さぁ惟忠様。早くお帰りにならないと、叱られますよ?」
「しかし!」
「私ももう戻らねば…失礼します。行きましょう…」

惟忠という男に背を向けると、巫女は妖狐をつれ歩き出した。

「…良いのか?」
「…ええ。あの方が私を気遣って下さるのは、私ではなくお父様の力が欲しいのです…
 あの方は私を見てくださらない…他の方々もそうです…
 私を人間として見ては下さらないのです…」

巫女は今までに見せた事のない悲しそうな顔をした。

「お前…あいつが好きなのか?」
「まさか…私は神に仕える身ですよ?そのようなこと…
 それより、先ほどは失礼しました。妖狐様を女などと…」
「ああ…別に気にしていない。しかし、なぜ男子禁制の地に俺を入れたのだ?」
「…怪我をなさっていたから…そのような方をほおっては置けません。」
「…良いのか男を入れても?」
「そのくらいは神々も許して下さるでしょう…」

巫女はいつもの笑顔を妖狐に向けた。

「妖狐様…?」
「なんだ?」
「…妖狐様はいつまでここにいてくださいますか?」
「もう消えた方が良いか?」
「そんな!できればずっといてくださったらと…あ!すみません!
 このようなこと言っても妖狐様を困らせるだけですね…忘れて下さい。」
「…もうしばらくいる…」
「ありがとうございます!」

巫女は本当にうれしそうに笑った。

 
それから時が経つにつれ、二人の心はどんどん通って行った。
しかし、素直になれない妖狐と自分の気持を表に出さない巫女だったため
お互いの心はわからずにいた。
 
お互いに知らないうちに心が通い合っていた二人だったが
そんな二人に別れはいきなり訪れた。

「…ごほっ…」
「大丈夫か巫女?」
「ええ…大丈夫です妖狐様…」
「何か良くない病ではないのか?」
「大丈夫です。でも…うれしいです…妖狐様が私を心配して下さるなんて…」
「い…いや…それは…」

妖狐は赤くなった。その様子を見て、巫女は笑っていた。
それからすぐ巫女の病は重くなり、起きあがる事ができないほどになっていた。

「巫女…」
「妖狐様…あちらへおいで下さい…病がうつっては…」
「俺は妖怪だぞ?人間の病がうつったところでどうってことない…」
「しかし…」
「それより巫女…何か口にするのだ…」

横になっていた巫女を彼が抱き起こした。

「…折角ですが…何も口にしたくないのです…」
「しかし…薬だけでも…」
「申し訳ありません…」
「…ダメだ。飲むのだ。」
「飲みたくありません…」
「…飲め。」
「…申し訳ありません…」

妖狐は巫女を抱き起こしたままだった。
本当に何も口にしたくないのか、巫女は頑なに断っていた。
そんな巫女を見て、妖狐は少し溜息をつくと、何故か薬を自分の口に入れた。

「妖狐様?」

それを見た巫女は不思議に思い、彼に声をかけたが、すぐに妖狐によって口を塞がれた。

「っ!!!」

妖狐は口の中の薬を巫女の口に流し込んだ。
口の中の薬がなくなっても妖狐は口を離さなかった。
巫女が薬を飲み込むのを確認すると、やっと口を離した。

「飲めるじゃないか…」
「…妖狐様!!!」
「静かに寝ていろ…俺は薬草を探してくる…」

妖狐は彼女を寝かせると部屋を出ようとした。

「巫女…すまなかった…」

妖狐は部屋を出る直前、障子に顔を向けたまま呟いた。
そして、すぐに部屋を出て行った。
彼は竹藪を歩いていた。
 
俺は巫女が好きなのか?
おそらく…いや…確実に俺は巫女が好きだ…
だが…巫女は神に仕える身…
俺は…ここを去るべきだったのか…
 
妖狐がいろんな事を考えながら歩いていると、以前感じた男の霊気を感じた。

「お前は…」

妖狐は声を出さず男を見ていた。

「…巫女はどうした?」

妖狐は目で屋敷の方を見た。彼は声を出そうとはしなかった。

「…お前話す事ができぬのか?」
「……」

妖狐は黙って男の目を見た。

「…まさか…巫女の近くにいるという物の怪…お前ではなかろうな?」
 
物の怪?
 
「巫女は物の怪に憑かれ病になったと都ではもっぱらの噂になっておる。」
 
俺の事か?俺がいるから巫女にいらぬ噂が…
 
「巫女はこの使命が終われば俺の妻となるのだ…巫女の父君は身分が高いからな…」
 
奴は勝ち誇ったような目をしていた。その目を見たとたん、俺の中の何かがはじけた。
 
妖狐は右手で男の首を締め上げていた。

「…お前が娶りたいのは、巫女か?それとも巫女の身分か?」
「お…前…」

妖狐は男の目を見た。男は泣け犬のような目をしていた。

「…お前は巫女にはふさわしくない…」

妖狐は男を放した。男はその場にうずくまってせきをしながら息を整えていた。

「…お前…物の怪か!!」
「…物の怪はどっちだ…お前は身分の為に巫女を犯そうとしている…
 お前の方が物の怪に近いではないか…」
「黙れ!!」

男は太刀を抜いた。

「…そのような刀では俺を切れん…」

妖狐は男に背中を見せた。

「死ね物の怪!!!」

男が妖狐に切りかかった。しかし、妖怪の妖狐にかなうはずもなく
少し妖狐がよけただけで男は勢い余って倒れ込んだ。

「…消えろ…」

妖狐は男を見据えた。男は悔しそうに逃げていった。
妖狐が屋敷に帰ると、巫女は眠っていた。

「巫女…」

妖狐は彼女の髪をかきあげた。

「…巫女…すまない…俺がここにいては、お前に迷惑がかかる…
 もう…戻らなくては…巫女…病のお前を残して行く事を許してくれ…」

妖狐は巫女の額に口づけると、姿を消した。
 

魔界へ帰った妖狐だったが、やはり巫女の病の事が気になってし方がなかった。
彼は、薬草を集めると、毎日巫女に見つからぬように彼女に薬草を届け続けた。
 
そんなある日、薬草を取っていた妖狐は無性に胸騒ぎを感じた。

「…まさかっ!」

妖狐は薬草を持って人間界へと向かった。
巫女の屋敷についた妖狐は真っ直ぐに巫女の寝ている場所へ向かった。

「巫女!」

妖狐が部屋に入ると、巫女は返事をしなかった。

「巫女!!」

妖狐は思わず彼女を抱き起こした。
幸いまだ息はあるものの、以前とは比べ物にならないくらい弱いものだった。

「…よう…こ…様…」
「しゃべるな巫女…」

巫女はゆっくりと目を開けると消え入りそうな声で彼の名を呼んだ。

「また…お会いできました妖狐様…」
「…すまなかった巫女…俺は…お前に助けてもらったのに
 お前が苦しいとき側に居てやれなかった…」
「でも…妖狐様…薬草を届け続けて下さったではありませんか…」
「しかし!」
「それに…こうして戻ってきて下さってではありませんか…」
「巫女…」
「お会いしたかった…」

巫女は妖狐の胸に顔をうずめた。

「巫女…」
「私は…罪深い女です…神に仕える身でありながら…あなた様を…」
「巫女…」
「…私に名があれば…あなた様に呼んでいただけたのに…」

その時、梅の花びらが部屋の中に舞い込んできた。

「梅が…」
「…梅流…」
「…え?」
「お前の名だ…梅流がいい。」

妖狐はそう言うと巫女を強く抱きしめた。

「梅流…よいお名前です…ありがとうございます妖狐様…」
「梅流…生きろ…生きるんだ梅流…」
「…ありがとう妖狐様…お会いできて良かった…お慕いしています妖狐様…」

巫女はそう言うと最期に笑顔を見せ、そして目を瞑った。

「巫…女…巫女?巫女!!!」

彼女の体から力が抜けた。妖狐は彼女の体を強く抱きしめた。

「巫女…目を開けろ巫女…」

妖狐の目から涙が流れた。
涙は巫女の頬に落ち、まるで巫女が泣いているようだった。

「なぜだ…なぜ俺をおいて逝くのだ…」

巫女の体は少しずつ冷たくなっていった。

「巫女…」

妖狐は巫女を抱くと、外へ出た。
そして、先ほど部屋に舞い込んできた梅の木へ向かった。
彼はまだ涙が止まらなかった。

「梅流…」

妖狐は梅の木の下で彼女を抱きしめた。

「梅流…なぜだと思う?涙が止まらん…俺は…今まで泣いた事などなかった…
 梅流…なぜ初めて流す涙がこんなにも辛いのだ…
 笑ってくれ…俺を助けてくれ梅流…俺は…お前がいないと気が狂いそうだ…」

妖狐は彼女を強く強く抱きしめた。

「…寒くないか梅流…見ろ…こんなに梅が綺麗に咲いているぞ?」

妖狐は返事をするはずのない彼女へ語りつづけた。

「なぜだ梅流…なぜ俺に愛してると言わせぬままに逝ってしまったのだ…
 お前に伝えられなかったではないか…俺は…お前を…梅流を愛してる…
 梅流…俺はお前以外を愛したりはしない…これからお前の生まれ変わりを待とう…
 いつまでも、ずっとお前を待ちつづける…
 だから梅流…生まれ変わるのだ…俺も前にもう一度現れてくれ…」

妖狐は最後に強く彼女を抱きしめると彼女に口付けた。
彼はずっと口付けたままでいた。
まるで彼女の冷たくなった唇を彼の体温をうつし、暖めるかのように…
しばらくそうしていた妖狐だったが、やっと彼女の口から離れた。

「…巫女…また…会おう…待っているからな…」

妖狐は彼女の遺体を梅の木の下に埋め、魔界へと戻っていった。
 
それからしばらくし、彼はもう一度彼女に会う事になる…そう…梅流と名乗る同じ妖狐に…
 

それから何年が経っただろうか?彼等は人間界にいた。

「蔵馬!メリークリスマス!!」
「メリークリスマス梅流。」

彼等は幸せそうに笑顔で向き合っていた。

「ねぇ蔵馬?来年もまたこうして一緒に過ごそうね!」
「あぁもちろん…愛してるよ梅流。」

そう言うと、彼は彼女に口付けた。
 
あの時言えなかった言葉…やっと言う事ができた…
これからは…いやこれからもお前を愛し続けるよ…お前だけを…梅流…
 
彼の中の妖狐がそう言っていた。しかし、それは妖狐の気持だけではなかった。
南野秀一である彼もまた同じ気持だった。
 
彼等は長い間口付けていた。
そう…妖狐が巫女にしたように…しかし今回は一つだけ違っていた。
離れたあと、彼等は笑顔で向き合っていたのだから。
 
「メリークリスマス梅流。愛してる…これからずっと二人で生きて行こう。」

蔵馬は笑顔でそう言い、彼女を抱きしめた。
彼女はうれしそう顔を赤らめ彼の胸に顔をうずめたのだった。
 






 


Copyright (C) KOHAKU All Rights Reserved