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スキー <著者:要 桜羅サマ>

「そうそう、その調子」

 ここはスキー場。梅流と蔵馬が滑りに来てる。
 もっとも、いつもの奴らも一緒ですが(^^;。

 今日は2日目で、まぁまぁ皆ほどほど滑れるようになったってところ。
 今日も、幽助は蛍子に、桑原は静流に、雪菜はぼたんに
 そして、梅流は蔵馬に滑り方を教えてもらっている。

 教え方の問題か、一番滑れなかった梅流も
 蔵馬の指導でかなり転ばないようになった。
 とりあえず、森につっこまないで曲がれるようにまった。

 そこまで急ではない斜面をゆっくり滑り降りる。
 蔵馬はその隣を、梅流と同じ速さで滑る。

 時折、蔵馬のかっこよさ(?)にこちらを見てくる人がいる

 蔵馬、優しいナァ…。それに独占してるみたい。えへへ。

 顔が勝手ににやける。

 「うまくなったね」

 ひょいと蔵馬が梅流の顔を覗き込んだ。

 「うん。秀ちゃんのお陰だよ…って えっ…きゃぁぁ!!」

 びっくり!! 止まれない。
 足だけが意思に反して、ずずずっと進んでいく。

 「きゃぁぁっぁっぁぁぁぁっ!!!!」

 「梅流っ……!!」

    どささあっ!!!

 「梅流っ!」

 かなり滑って下の麓のほうで、梅流は思いっきり転んだ。
 蔵馬は急いで滑ってきて、梅流の側による。

 「大丈夫?」
 「…う、うん……」

 「足とか…怪我してない? ホントに大丈夫?」
 「うん、全然だいじょ…イタッ!!」

 立とうとした梅流はがくんとひざを崩す。

 「いった……」
 「どうし…見せて!!」

 蔵馬は有無を言わさず梅流の足を見る。

 「ちょっと…ひねった? 歩けそうにないね」

 転んだ拍子に、もろ足首をひねってしまったようだ。
 激痛が走る。
 そのせいで、目が潤む。

 「うぅ……」

 そんな顔の梅流を見て、蔵馬はすくっと立ち上がった。

 「ほへ?」

 急なことで、梅流は素っ頓狂な声を出してしまう。

 蔵馬は梅流をじっと見つめて
 2人分のストックを片手で持った。

 梅流は訳が分からず、びっくりしながら蔵馬を眺めていた。

 そんな梅流を、蔵馬は
 軽々しく、ひょいっと持ち上げた。

 「うにゃ??? 秀ちゃ…ちょ…なに!??」

 お姫様だっこ…顔が火照る。
 じたばたする。でも、蔵馬ははなそうとしない。
 みんな見てる。

 「ちょっと秀ちゃ〜ん;」
 「そんな怪我じゃ、滑れも歩けもしないでしょう?
  ホテルまで連れてってあげるよ」

 そう言うと蔵馬はスキー板だけで滑り出した。

 「ちゃんとつかまっててね」 

 梅流はもう何も言わずに蔵馬の言うとおりにした。

 もちろん沢山の人がその光景を振り返る見ていたけれど。

 ホテルの部屋に着くと、蔵馬は梅流の足の手当てをした。

 「ごめん。俺の不注意で」
 「違うよ、梅流が悪かったんだよ。秀ちゃんのせいじゃない!!」

 一生懸命蔵馬のせいじゃないと言い聞かせる梅流が
 とても可愛くて。
 蔵馬は軽く微笑むと、ふんわりと梅流を抱きしめた。

 「ごめんね。明日から…痛みがひかなかったら滑れなくなるね」
 「大丈夫だよ。蔵馬の薬、よく効くから」

 そのまま2人は少しの間、温もりを分け合っていた。


 次の日、蔵馬の痛み止めの薬がばっちり効いて
 足の怪我が良くなった梅流だけど、
 蔵馬から滑るのを禁止させられてしまった。

 …もっとも、一日中誰にも邪魔されずに蔵馬と一緒にいられるから
 ちょこっと嬉しいな…と思ってる梅流なのでした。 


                          〜終わり〜




 


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