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ずっと側に <著者:夜瑠サマ>

夕暮れの時、大きなベットシ→ツを梅流は必死で干していた。

めずらしい一人きりの留守番―――

「友達泊めたり…好きにしていいケド、洗濯物だけちゃんと干しといてね」
そういって出て行った家族はあと2時間程で帰ってきてしまう。
昨日から丸二日…時間はたっぷりあったのだが…
ここぞとばかりに大好きな人と一緒にいたタメすっかり忘れていた。

「これで最後ですね」
「うん(^_^;)せっかく泊まりに来てもらったのに…ゴメンネ☆★
 梅流のドジで手伝いさせちゃって。」

少し寒くなってきてる…手に力が入らなくてシ→ツ地面に付きそうになる。
…と、隣で別の物を干してた大きな手が、とっさに助けてくれた。

「あっ…と、ありがと蔵馬☆★」
「どういたしまして(^_^)」

(『エヘヘ、梅流のシ→ツ(^_^)蔵馬に触って貰っちゃった♪』)

思わずほころぶ顏…だが、すぐ暗い表情になり考えこむ。

『もう少しで…蔵馬とお別れのじかん・・・(:_;)』

一緒に御飯を食べた 一緒にテレビを見て お風呂も一緒だったりして
お互いの体温を感じながら眠りにもついて…お泊りで始めてというくらいの長い時間を
ずっと一緒に居たのに…だからこそだろうか、数時間後にひかえている
彼との別れを想像しただけで泣きそうになってしまう。
“バレちゃいけない”と、シーツが干してある竿の前で立ちつくす。

「梅流…シ→ツとめないと風が…」
『やば…涙出そ(>_<)』

///バサバサバサッ///

「きゃあっ!!」

ひっかけていたダケのシ→ツが突然の強風で頭からかぶさり、思わずしゃがみこむ梅流。

「…たたっ(>_<)ぁ、シ→ツが…(@_@)」

…もちろん洗いたてのシ→ツも地に着いた部分が汚れてしまった。

「大丈夫ですか梅流…怪我は?」
「…っ」
『せっかく“蔵馬が触ったシ→ツだ♪”って、“一人の夜も前向きに考えよう”って…』

覗き込んだ梅流は淋しさと情け無さで涙をこぼしていた。

「梅流…(@_@)」
「ひっく……っく(:_;)」

“お泊りで始めてというくらいの長い時間を、ずっと一緒に居た”のに…だからこそだろうか…?

「‥淋しい…(:_;)」

梅流は言った。
一日じゃ足りない…全然‥足りない。

「ずっと…ずっと一緒に居たいよ(:_;)一分一秒でも多く…蔵馬と居たいよぉっ…(>_<)」

後から後から…涙が止まらない、困らせたくない…笑顔で“またね”って言う筈だったのに…。

お互い時間が合わない…それでも蔵馬は精一杯時間を合わせてくれてる。
だから…頭ではただのワガママだって分かってる筈なのに・・・。

「離れたくないよぉ…学校も行かないで…課題もしないで…ずっと蔵馬と居たいよぅ…(>_<)
 どこにもいっちゃヤダ…他の女の人と口きくのも見てらんない…」

泣いた勢いで出た言葉…でも本音だった。
泣いてすがる梅流の前に立てひざをついた、ハッとして我に帰る。

「…ご、ごめんっ(:_;)こんな泣き虫…蔵馬の彼女、失格だね…っ」

それでも彼はいつもより更に優しい眼で顏を近付けてきた。

「…っ(>_<)本当に‥ごめ…」

コツン と おでことおでこが当たる。

「梅流…(@_@)結婚しよう…?」
「え…っ!?」

突然の事で理解できない梅流の涙を指先で拭う。

「俺達…一緒になるんです。」

長いまつ毛が…眼の前で二つつぶってる・・・あっけに取られたままの梅流が

「梅流で…いいの?だって梅流、お掃除嫌いだし、蔵馬には一杯求めちゃうし…
 お仕事の邪魔になっちゃうかもだよ?(:_;)」

と言うと彼を赤い髪を揺らし顔を横にふった。

「ただ君が側に居る…それ以上素晴らしい事は他に無いから―――
 何を犠牲にしても欲しいと思えるんだ。」
「蔵馬…(:_;)」

「桜散る春も、暑い夏も…紅葉の秋も一緒に居よう?」

優しく抱き起こして…優しく手を取る。

“めぐる季節”“老いて行く記憶”すら俺は君と共にしたいと…こんなにも強く望んでいるから。
優しい口付けと梅流の手には指輪が‥

「梅流の苦手な冬も…二人で居れば寒くないよ…」
「うん…うんっっ(>_<)」

嬉しさのあまり泣きながら抱きつく梅流。

「うん…っ(>_<)一緒に…一緒に居よう(:_;)ずぅ−っと‥一緒に…っ(>_<)」

小さな体でぎゅうっと必死にしがみついてくる彼女がカワイクて
彼の大きな腕はいつまでもいつまでも…優しく包んでいましたとさ。         



 


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