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"ふたりなら大丈夫"

小屋の入口からピュゥゥゥっと冷たい風が吹き込んできて
狐鈴は慌てて玄関にかかる大きな布幕を下ろした。

「狐白、大丈夫?」
「ダメ。狐鈴・・・苦しいよ。」
「もうすぐ父さん達が薬草を取って戻ってくるから
  それまで頑張って。ね、僕も傍にいるから。」

狐白は昨晩から高熱で魘されていた。

「うん・・・」

ケホケホとちいさく咳き込みながら
狐白はとても弱々しい声でそう言いながら頷いた。

狐白の双子の兄である狐鈴は
ずっと狐白の傍に付き添って看病を続けていた。

しかし、その狐白の苦しむ姿をジッと見ていることしか
出来ないのが辛く、狐鈴は狐白以上に今にも泣きそうな顔をしていた。

「狐鈴・・・寒いよ・・」

熱に侵されて、寒気がするらしい。
狐白は毛布にギュッとしがみ付きながら、小刻みに震えていた。

「狐白・・」

狐鈴はそっと狐白の手を両手でギュッと握り締めた。
掴んだ手は熱く、震える振動が狐鈴の手にも伝わってくる。

狐鈴が心配そうに狐白を見つめると
狐白は目にいっぱいの涙を浮かべていた。

苦しさの余りポロポロと零れ落ちる。

「狐鈴・・・」

狐白は微かな力で狐鈴の手を握り返しながら
涙目の瞳をゆっくりと閉じると、そのまま意識を失った。


残された狐鈴は、祈るように。
握っていた狐白の手をもう一度強く握り締めた。




・・・




「帰ったぞ」

それから数時間後。
薬草を取りに行っていたふたりの両親が戻ってきた。
父親の蔵馬と、母親の瑪瑠だ。

「ただいま〜狐白、狐リ・・・」

小屋に入ってふたりの姿を確認した蔵馬は
クルリと後ろを振り返ると、後方から声をかける
瑪瑠の言葉を遮るように強引に接吻けて、瑪瑠の口を塞いだ。

「んっ・・・」

蔵馬はそのまま静かに、瑪瑠の身体を引き寄せると
瑪瑠は頬を紅く染めながら抵抗して唇を離した。

蔵馬は声を出さずに、僅かに微笑む。

突然の蔵馬の行動の意味を理解出来ずに
瑪瑠は目をパチクリとさせて、何度も瞬いた。

「ほら」

蔵馬は瑪瑠を抱きかかえたまま
ふたりのいる方向を見るよう首で促した。

「あっ」

瑪瑠が蔵馬の指す方向をゆっくり見下ろすと
そこには同じ布団の中でピッタリと寄り添って眠る
"狐白"と"狐鈴"の姿があった。

狐鈴の傍で眠る狐白の顔は非常に穏やかで
先程まで熱で魘されていたのが嘘のようだった。

心配で泣きそうになっていた狐鈴も。同じで。
ふたりともとても気持ちの良さそうな表情で眠っていた。

「どうやら薬草はいらなかったようだな」
「そうみたいね」

蔵馬と瑪瑠はふたりを起こさないように小さな声でそう言うと
互いに目を合わせながら、微笑みあった。

"ふたり一緒なら ほら もう大丈夫" * FIN * 狐白と狐鈴の仲良し度をアピールしたかったのですが なんだか両親のラブラブっぷりをアピールしてしまったような(+_+)!?(笑) 妖狐様が鼻先に人差し指をさして「シー」とかやるイメージが 湧かなかったもので(^-^;こんな風になっちゃいました@ 一応、子供達だけではなく、部屋には大人になった碧君が監視役で居る筈だったのに 一体どこへ行ったのー!?(`_`)脱走したか〜!?(笑) そんなこんなで初☆千年ワールド小説でしたん♪ 思わず挿絵まで入れちゃった♪何だか幼い蔵馬と瑪瑠みたいで(>▽<)ウハウハです♪ 千年双狐は一応平穏になった魔界が舞台なので特に重大なストーリーは決まっておらず 今のトコこんな感じの短編しか浮かんでいません@うん、でも平和が一番だね(^_-)☆

 


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