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絡み合うもの
<著者:綾子サン>

[たちきれぬもの]の続き


変な夢…
私は巫女で、まだ少年の蔵馬…妖狐の姿の蔵馬に会う夢…
蔵馬は恥ずかしがりやで、素直じゃなくて…
だけど、凄く優しいの…
誰よりも優しい目で私を見つめてくれる…
 
苦しいよ…なんでこんなに苦しいの?
助けて蔵馬…まだ死にたくないよ…
だって、私はまだあなたに伝えてない…
蔵馬が好きだってことを伝えていないのに…
 
あれ?蔵馬?なんで泣いているの?
あれ?なんで私が蔵馬に抱かれているの?

…………………………………………………………………………

あ、そっか…私死んだんだ…
蔵馬の腕の中で…
よかった…蔵馬に気持ちを伝えられた…
これでもう…
 
今の…夢?あれ?なんで私泣いてるんだろう?
なんだろうこのモヤモヤした気持ち…
…嫉妬?うそ…なんで?あれ私だったのに…
嫌だよこんな気持ち…
 
「梅流?どうしたんだ?」
「…え?ううん…何でもないよ…」
「なんでそんなに苦しそうなんだ?俺じゃ力になれない?」

蔵馬…蔵馬にはなんでもお見通しなんだね…
後ろから包み込むように…
やさしく抱きしめてくれる腕の力が気持いい…

「違うの蔵馬…本当に何でもないの蔵馬…ただ…」
「ただ?」
私を心配そうに覗き込む蔵馬…
知ってる蔵馬?
その優しい瞳が私を写していることで私は凄く安心するんだよ?
「変な夢を見たの…」
「夢?」
私は蔵馬に寄りかかりながら思い出すように口を開く…
「うん…私がねどこかのお姫様で巫女なんだ…そこで蔵馬に会うの…
 蔵馬は妖狐で、ずっと私の側にいてくれるの…
 だけどね、私が病気になって最後にはこうして蔵馬の腕の中で死ぬの…」
蔵馬は私の話しを黙って聞いている…
「なんかね…私なのに、なんか蔵馬が違う人を抱きしめているみたいで…」
「そんな事する訳ないだろ…」
蔵馬が腕に力を入れた。
「蔵馬?」
「梅流…俺は梅流以外をこうして抱きしめたりはしないよ…
 それがたとえ前世であっても、俺が抱きしめるのは梅流だけだ…」

蔵馬の言葉一つ一つが心に染み渡る…
自分にとはいえ、嫉妬していた嫌な私が綺麗に洗われていく…

「梅流…お願いだから、夢と言っても死ぬなんて言わないで…」
「蔵馬…」
「梅流は俺が守る…俺と一緒に生きよう?
 だから、絶対に死ぬって言葉を口に出さないで…」
「わかった…ごめんね蔵馬…」
蔵馬は腕の力を緩めた。私は今の言葉を誓うために、自分から蔵馬に口付けた。
「……?!」
はじめ蔵馬は驚いたようだったけど、すぐに優しく私を受けとめてくれる…
「梅流…」
「ずっと一緒にいようね蔵馬…」
「ああ…ずっと…永遠に君を守り続けるよ…」
私達はもう一度二人だけの長い長い誓いのキスをした。
ご存知ですか妖狐様? 私はここにおります… 今も尚あなたのお側に… あなた様も私も姿が変わってしまいました… だけど、心が二人を導いてくれたのです… あなたを思う心があなたと私を再び結びつけてくれました… 妖狐様…私はあなたのお側にずっとおります… 知っているか巫女? 俺はお前を待っていた… お前の心が俺の元に戻ってくるのを… 姿が変わってしまっても、一つだけ同じものがある… お前を思う気持ちが… 巫女…俺はここにいる… ずっとこのままいよう巫女… 大好き蔵馬… 前世の気持ちは関係ないよ? 私はあなたが好き。それだけ… 私は私、前世は前世… 同じ物と言えば、あなたを思うこの気持ちだけ… 蔵馬…もう死ぬなんて口に出さないよ… ずっと二人で生きていこうね… 好きだよ梅流…大好きだ…愛している… 言葉では言い表せないほど君を思っているんだ… 俺の記憶のそこに眠る気持ち… それが妖狐の気持ちであっても、 これだけは真実…俺は梅流を想っている… 俺は昔から君だけを見つめてきた… だから、梅流…俺を信じて…俺だけを見て… 俺はずっと君の側にいるよ… 二人で生きて行こう梅流…

 


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